新米巫女の神代(かみしろ)巫女にとって、神社の世界はまだまだわからないことだらけ。神職(しんしょく)の佐藤さんの手助けで日々勉強中です!
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神代 佐藤さん、もうすぐ6月17日、七渡弁天(ななわたりべんてん)様の例祭(れいさい)日ですね!
佐藤 そうだね。富岡八幡宮の境内には十七柱の神様がお祀りされているけれど、七渡神社の例祭は神楽舞(かぐらまい)も奉納されて、最も盛大に斎行(さいこう)されるよね。
神代 ご参列の方も大勢いらっしゃいますしね。でも、どうしてなんでしょう?
佐藤 それはやっぱり、七渡神社が富岡八幡宮よりも古い御創建だと言われているからだろうね。別名「地主(じぬし)弁天」、つまりこの地の地主神様というわけだね。
神代 八幡様の敷地の守り神様は、七渡弁天様なんですね。
佐藤 そういうことだね。だからぜひ皆さん、八幡様と同様に弁天様にも普段からお参りしていただきたいな。
神代 そういえば七渡神社の御祭神は市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、ですよね。どうして「弁天様」と呼ばれているんですか?
佐藤 うん、神代さん、「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」という言葉は聞いたことあるかな?
神代 えーっと、この神様はあの仏様とおんなじ方なんだ、とする考え方でしたっけ……?
佐藤 そうだね。日本生まれの神様の神様と、インド生まれの仏教の仏様はもちろん別々の存在なんだけど、同じような強い力を持ち、同じような働きを司る神様仏様の中身は実は同じ存在で、現れる姿を変えているだけ、というものだね。
神代 姿を変えるくらい、神様なら容易いでしょうしね。
佐藤 江戸時代まではこれが一般的な常識だったわけで、当然市杵島姫命にも別の姿が考えられたんだ。
神代 それが弁財天だったんですね。
佐藤 宗像(むなかた)大社や厳島(いつくしま)神社など、海と縁の深い神社に主祭神として祀られているように、市杵島姫命は水の神様。一方の弁財天も、元々河の働きを司る仏様。しかも両者とも美しい女性であり、高い人気も誇り、共通点が多かったため同一視されるようになったんだろうね。
神代 それで七渡神社も、「七渡弁天」と呼ばれるんですね。
佐藤 結果的にお名前を二つお持ちなわけだけど、どちらが正しくてどちらが間違っている、ということでもないんだ。大切なのは……。
神代 真心、ですね。 佐藤 その通りだよ。
神代 八幡様の「縁の下の力持ち」の弁天様、皆さんのこともきっとお母さんのように、優しく温かく見守ってくださっていますよね。
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