伊能大図第九十号 江戸(部分)

 

奉 納   渡辺 一郎・貞子 御夫妻 様

 

 伊能忠敬が作成した大日本沿海輿地全図は、大図・中図・小図の3種類に分かれ、特に大図は204枚の地図より成立しています。しかし幕府に献上された伊能大図の正本は明治6年の皇居炎上で焼失し、さらに伊能家に伝えられた副本も東京帝国大学に保管された後、関東大震災で焼失してしまいました。また伊能大図を模写した写しは全国合わせて約60枚の存在が知られるのみで、残りの約150枚は失われたと考えられてきました。
 しかし、平成13年3月、渡辺一郎・貞子夫妻が旅行中に立ち寄ったアメリカ議会図書館にて国内未確認分148枚を含む207枚を発見、世紀の大発見として大きく報道されました。その後、国立歴史民俗博物館、海上保安庁海洋情報部で残りの未確認分が発見されて204枚すべてが揃い、伊能大図の全貌が明らかになりました。このたび渡辺夫妻より伊能図の複製をはじめとする諸資料一式を御奉納いただき当神社資料館にて保存・展示させていただくことになりました。
(地図上右下に八幡宮、三十三間堂、洲崎弁天宮、扇橋、永代橋、霊岸島などが確認できます。また赤線は忠敬が測量した道を示します)