神道の豆知識  祝祭日について
 
 昨年、祝祭日について取り上げましたが、4月・5月・6月の祝祭日は紙面の都合で抜けてしまいました。ここで改めて取り上げたいと思います。
 
◇みどりの日  4月29日

 もともとこの日は、昭和天皇のお誕生日だったことを皆さんご存知のことと思います。
昭和天皇は、植物の研究に殊のほかご熱心で、自然を慈しんでおられました。このことから崩御された後、平成元年よりみどりの日として制定されることになりました。
 この日の意味は、自然と親しむと共に自然の恩恵に感謝し豊かな心を育む日とされています。
 私たち日本人は国土の6割を超える森林を持ち、世界でも有数の豊かな自然に育まれています。私たちの祖先は、自然から恵みを受け、これに感謝し、時には自然の脅威を畏れながら暮らして来ました。いわば、自然との共存こそが最も重要なことだったのです。
 しかしながら、近年はその自然に対する謙虚な気持ちを忘れ、人間の力で変えてしまうようになりました。
 自然環境の破壊は、そこに住む動植物への影響にとどまらず、我々の住む環境も悪化させているということを忘れてはなりません。
 また、この日は昭和天皇のお誕生日であることから、国際関係悪化による戦争、そして終戦の御聖断から復興への道を辿った昭和史に思いを致し、語り伝えていく日としたいものです。
 
◇憲法記念日  5月2日

 この日は、敗戦により連合国軍の支配を受けていた日本に、新たな憲法として日本国憲法が施行された日です。日本国民は、独立ヘの第一歩として歓喜でこれを迎えました。
 しかしながら、この憲法はGHQ(連合軍総司令部)による占領政策に沿った形で作られたもので
した。
 やがて日本は講和条約を結び、独立し、驚異的な復興を遂げるのですが、この中で日本国憲法は一応の役割を果たしてきました。
 しかしながら、50年以上経った今日、様々な課題を抱えています。それらの問題を含め、これからの憲法の在り方について考えていかなければならないでしょう。
 
◇こどもの日  5月5日

 昔より5月5日は五節句のひとつ、端午の節句とされてきました。
旧暦のこの日は梅雨の始まるころにあたり、菖蒲酒を飲んで邪気を祓ったり、菖蒲湯に入る風習が古くよりあります。これは菖蒲が薬草であり、その強い香りが邪気を祓うと信じられたからです。
 そして菖蒲は尚武に通じることから、尚武の節句とされ江戸時代には上巳の節句(雛祭)に対して男児の祝日とされ、武家では甲胄や、旗指し物を立ててこの日を祝うようになりました。
 また鯉幟は「鯉は竜門の滝を昇って竜となる」との故事から古くより川魚の王であり、出世魚であることから子供の立身出世を祈って掲げられる様になったと思われます。

 現在、この日は子供の日として祝日に定められています。
 私達は親の愛情を受けて成長してきました。そしてその愛情を自分の子供に注いでいく、そういった生命のつながりを大事にしていかねばなりません。
 また神社では初宮詣、七五三詣等子供の成長を祝う人生儀礼を通じて、子供達の健やかな成長を見守っています。
 いつまでもこういった親と子の絆、そして成長の節目節目の人生儀礼に込められた祈りを守り伝えていきたいものです。


←前頁へ  次頁へ→