平成21年10月10日、江東区の新たな観光拠点として「深川東京モダン館」がオープンしました。この建物は、昭和7年(1932)東京市の市設食堂として建てられたものです。

 市設食堂とは、社会事業施策として東京市が経営した食堂です。米価高騰により人々の生活は困窮し、大正7年(1918)富山県で起こった米騒動は、またたく間に全国に波及し、東京でも起こりました。こうした人々の為に、安くて栄養価の高い食事を提供することを目的に、大正9年、神楽坂・上野に初めて設置され、以後、順次開設されました。しかし、大正12年の関東大震災により、神楽坂を除く公衆食堂は焼失、公衆食堂設置計画は、震災復興事業に組み込まれていきました。

 深川食堂は大正13年深川黒江町に開設しましたが、仮設であったため同15年廃止となりました。
 その後昭和6年に新たに着工し、震災の教訓を活かして、当時の最先端技術である鉄筋コンクリートが採用され、翌7年に完成、営業を開始しました。11年に閉鎖されましたが、13年に東京市深川栄養食配給所として活動を再開、東京大空襲で被災しましたが全焼をまぬがれ、戦後部分修復をして、東京都の職業斡旋施設となり、32年には授産機能、36年には福祉機能が追加されました。54年に江東区へ移管され、「江東区内職補導所」と改称し、数度の名称変更を経て、平成18年に閉鎖されるまで利用されました。

 そして平成20年度、現存する数少ない震災復興建築物である点と、区内に残る希少な戦前の近代建築物であることから文化財的な価値を認められ、国登録有形文化財(建造物)に登録されました。

 深川東京モダン館は、1階部分は観光案内・発信スペースとし、区内の観光資源の紹介を行い、2階部分は自主企画展を開催するほか、イベント、ギャラリー、会議等の用途で貸出しを行います。

 建物の見学は勿論のこと、今まで知らなかった新しい深川の発見に役立ててみては如何でしょうか。

開館時間:午前10時から午後8時
休館日:月曜(休日の場合、翌営業日休)
入館:無料(2階は有料の場合あり)
電話:03−5639−1776