今号より始まったこのコーナー。神代(かみしろ)巫女はこの春神社に勤めたばかりの新米巫女。わからないことだらけの神社の世界、神職(しんしょく)の佐藤さんの手助けで日々勉強中です!
今日は神代さん、なにやら書いているようですが・・・。
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神代 えーっと、名前名前・・・。
佐藤 あれ、形代(かたしろ)を書いてるの?
神代 佐藤さん!そうなんです、でも書き方も使い方も良くわからなくって・・・。そもそも私、神社に勤めるまで大祓(おおはらえ)自体知らなかったですし。
佐藤 神代さんはまだ巫女さんになったばかりだもんね。
神代 はい。佐藤さん、大祓ってなんなんですか?
佐藤 一言で言えば、僕たちが生きる中で身に付いた罪や穢(けが)れを祓い清める行事だよ。
神代 ツミ?ケガレ?
佐藤 そう。神代さん、毎日生活する中で、「こんなことしなきゃ良かったな」って後悔することとか、後ろめたい思いをすること、あるでしょ?
神代 ・・・そうですね・・・。
佐藤 わかりやすく言うと、それが神社で言う「罪」なんだ。
神代 なるほど。罪なんて言われるとドキッとしちゃいますけど・・・。それじゃ、ケガレは何なんですか?
佐藤 僕たちの元気を無くさせるような、環境とか状態のことかな。
神代 元気が無いって、落ち込んだり疲れたりすることですか?
佐藤 そうだね。そうしたことも、毎日少しずつ経験するでしょ?
神代 そうですね、避けられないですよね。
佐藤 うん。だからこそそういう穢れや罪を、半年に一度すべて取り去って、清々しい元気な状態にするんだ。それが大祓だよ。
神代 それじゃ、断然やっておかないとですね!それで、そこで登場するのがこの、形代ですね。
佐藤 そう。人形(ひとがた)ともいうんだけど、人間の代わりをしてくれる、紙の身代わり人形だね。
神代 頭があって手があって、確かに人間に見えますねぇ。それで、これにまずは名前を・・・書きました。
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佐藤 次は年齢。数え年で書くのが基本だよ。
神代 数え年って、その年になる年齢に一歳足した数ですよね。・・・出来ました!
佐藤 そうしたら、形代で全身を三回撫でる。罪穢れを拭き取るつもりでね。
神代 なくなれ、なくなれ・・・。なんだか不思議です、本当にきれいになっているみたい。
佐藤 もちろん。最後に、形代に三回息を吹きかけて。
神代 ふー、ふー、ふー。これでこの形代は、私の罪穢れを引き受けてくれたんですね・・・。
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佐藤 あとは6月30日に、我々神職が皆さんの分と一緒にお祓いしますから。
神代 よろしくお願いします!そういえば佐藤さん、もう一つ聞きたいんですけど。大祓の日に来られた皆さんに配るという、この切麻(きりぬさ)。これは何なんですか?
佐藤 神代さん、自動車のお祓いで神主さんが使っているのは見たことがある?
神代 はい、だからお祓いの道具だということはわかるんですが・・・。
佐藤 そうだね。切麻は半紙を小さな四角に切ったものと、麻を細かくしたものとを混ぜ合わせて出来てる。麻は昔、衣服の原料になっていたからとても大切にされていたんだ。
神代 半紙には何の意味があるんですか?
佐藤 半紙はね、布の代わりだよ。こうしたものが昔は貴重で、神様へのお供え物にされていたんだ。「お供えをしますから、お清めしてください」と願われたわけだね。それがいつしか、お祓いの力そのものの象徴となったわけなんだ。
神代 こんなに小さいのに、そんな意味が込められていたんですね・・・。
佐藤 神代さん、切麻の使い方はわかる?
神代 体に振りかけるんですか?
佐藤 そう、三回に分けて、左右にね。順番は、左、右、左。
神代 左、右、左・・・。ありがとうございます!これで大祓、安心して迎えられます! |
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佐藤 それは良かった。
神代 是非皆さんにも大祓、していただきたいですね。
佐藤 そうだね、当日は境内に大きな茅(ち)の輪(わ)も作られるし、屋外で行われるから皆さんも比較的気軽に参加できる神事だと思うしね。もちろん事前に形代を納めていただいて、当日はご自宅で切麻を使っていただいても結構だし。
神代 みんなで半年のツミケガレを一掃しましょう! |