皆様とともに新しい年を迎えられましたことを心よりお慶び申し上げます。
昨年は東日本大震災により、東日本に甚大な被害がもたらされただけではなく、世界中が大震災、大洪水等様々な自然災害に襲われた一年でした。
このような現象は異常気象と呼ばれておりますが、これまでの地球異変を顧みますと、幾度となく繰り返されてきた歴史が存在していたようです。
昨年の例祭時に少しお話させて頂きましたことですが、地球誕生から46億年と言われております時間を一年と計算して置き換えますと、長い年月地球を支配してきたと言われる恐竜は15日間の繁栄、人類の歴史は13時間20分でしかないそうです。
恐らく人類の歴史では、その日その日の食料を調達し、生命を維持し、子孫を残すために生きてきた時代もあるのではないかと思われます。
しかし、人間と恐竜の大きな違いは、神から知性を与えられたということです。
この知性により、人間は神の恩恵に感謝し、自然の恵みに感謝し、生きとし生けるものを慈しむ事ができます。新しい年の訪れを感謝し、また一年、無事に元気に幸せに過ごせますようにと祈ることができるのです。そこには神や自然への畏敬の念こそ含まれておりますが、あらゆるものとの共存の想いが込められ、この星を支配しているなどと言う思い上がった気持ちは微塵も存在しないのです。
太古より続く神社のお祭りの多くはそのような自然への畏敬の念に満ち溢れた、神に感謝する神祭りなのです。
富岡八幡宮の例祭も例外ではありません。
当神社の例祭は寛永19年(1642)を起源として、350年以上の歴史を有する誇るべきお祭りですが、この長い間、私どもの祖先は神や自然に対する感謝をひとときも忘れることなく捧げて参りました。
江戸三大祭りの一つにも数えられる深川八幡祭りの神髄は「感謝と祈り」にあるのです。
昨年延期になりました当宮本祭りでございますが、今年は神々への感謝と生への喜び、そして、祖先の御霊、天災で犠牲になられた方々への祈りを祭りに込め、東北地方の方々をお招きし、盛大に執り行いたいと願っております。どうか、氏子、崇敬者皆様のご理解、御協力をお願い申し上げ、年頭のご挨拶とさせて頂きます。 |