境内にふたたび歌仙桜を |
かつて富岡八幡宮の境内は桜の木々で華やかに彩られていました。殊に正徳年間(1711〜1716)、度会園女(わたらいそのじょ)によって植樹された桜は計36本からなり、平安時代に活躍した和歌の名手「三十六歌仙」にちなんで歌仙桜(かせんざくら)と称されました。この歌仙桜はたびたび衰退しましたが、その都度有志の皆様によって再興され、八幡宮の見どころの一つとして広く知られました。 例えばこの百年近くを見てみますと、深川公園にて大正4年に植樹、大正12年に関東大震災で焼失、大正15年頃に宮川曼魚(みやがわまんぎょ)によって再興、昭和5年に改めて植樹、昭和20年東京大空襲によってまたもや焼失といった歴史が見られます。戦後は有志の方より桜の植樹も試みられましたが、定着するには至りませんでした。現在当宮の境内は深い緑をたたえておりますが、錦絵に見られるような華やかな面影は失われたままとなっております。 そこでこの度、有志の皆様の御奉納を戴き、歌仙桜を再興することとなりました。この再興は御神慮をお慰めするのみならず、大横川の桜とあいまって地域の発展に寄与するものと確信いたします。 来春には36本のソメイヨシノが錦絵に見られるごとく満開に咲き誇ることでしょう。 |