中堅巫女に育った神代(かみしろ)巫女。でも神社の世界はわからないことだらけ。 神職(しんしょく)の佐藤さんの手助けでまだまだ日々勉強中です!
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神代 佐藤さん、明けましておめでとうございます!今年もいろいろ教えてください!
佐藤 うん、今年も神社のことをたくさん勉強しようね。
神代 はい!それで早速なのですが、絵馬について聞きたいんです! 佐藤 富岡八幡宮には八種類あるね。
神代 はい。ただ、描かれているのはお神輿だったり、干支だったり……。それなのにどうして「絵馬」というんですか?
佐藤 かつて馬というのは、とても神聖な動物と考えられていてね。神様は馬に乗って現れるとされていたんだよ。
神代 神様の乗り物ですか。
佐藤 そこで僕らのご先祖様は、神事の際に本物の馬を用意して神様に使っていただこうとしたんだけれど、毎回新しい馬を用意するのはさすがに大変だからね。やがて、石や木などで出来た馬の像が代わりに用いられるようになり、さらに馬の絵を描いたもの、つまり「絵馬」が登場するようになったんだ。
神代 なるほど!それじゃもともと絵馬は、神様の乗り物代わりだったんですね。
佐藤 そうだね。奈良時代には既に絵馬の原型が登場していたんだけれど、馬以外のものが描かれるようになったのは室町時代。長い長い時間を経て、絵馬に対する認識が変わっていったんだね。
神代 神様に差し上げる乗り物、ではなくて……。
佐藤 自分たちの祈りを託す捧げ物、になったんだね。そしてその捧げ物をどんなふうに彩るかに、関心が移っていったんだ。
神代 それでいろいろな絵柄の絵馬が生まれたんですね。
佐藤 神様のお姿、仏様のご利益、干支の動物たち。絵馬の絵柄にバリエーションが増えて、著名な絵師も手掛けるようになって、絵馬で飾られた絵馬堂も作られて。絵馬は日本美術の一端を担う、大事な文化へと成長していったんだ。
神代 となると、絵馬堂はさながら美術館だったんですね。
佐藤 そうだね。そして絵馬は今でも進化を続けていて、様々な形や絵柄の絵馬が生まれている。だけどね、その根底にあるものは変わらないと思うんだ。
神代 自分たちの祈りを託すもの、ですね。
佐藤 うん、だから神社で受けていただいた後は、境内の絵馬掛け所に納めていただくにしろ、ご自宅に持ち帰られるにしろ。絵馬にご自身の祈りを記していただきたいんだ。それは自分自身が神様と向き合う、大事な瞬間になるはずだよ。
神代 お守りやお礼とはちょっと違う絵馬。私も年の初めに、自分の祈りを託してみたいと思います!
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