松尾芭蕉は延宝八年(一六八〇)弟子の杉山杉風が所有する、万年橋近くの草庵に移り住みました。(当初庵を「泊船堂」と称す)翌年バショウ株を、門人から貰い受け植えたことから、「芭蕉庵」と呼ばれるようになりました。 皆さんがよく知っている「古池や蛙飛びこむ水の音」の句は芭蕉庵に住んでいる時に作られ、発表してからは、芭蕉のもとに蛙の置物が送られるようになり、芭蕉もそれらを愛好していたと伝えられており、没後も庵に置かれ、庵と共に消えてしまいました。大正六年(一九一七)台風の高潮が襲った後『芭蕉遺愛の石の蛙』(伝)が発見されたため、この場所を芭蕉庵跡とし、石蛙を祀り芭蕉稲荷としました。現在、この石蛙は近隣の芭蕉記念館にて保存・展示されています。 |