世界遺産の旅は、いよいよ海の向こうへ。日本とのつながりが深い、アジアの代表的な世界遺産から見ていきたいと思います。
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臥竜の如き壁
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日本と一衣帯水の隣国、中国には現在39件の世界遺産があります。中でも「万里の長城」といえば最も中国らしい光景の一つではないでしょうか。
万里の長城は、中国北部に延々と続く世界最長の建造物です。その発端は戦国時代中頃(紀元前4世紀〜前3世紀)までさかのぼります。当時、北方の騎馬民族・匈奴(きょうど)の侵入が激しく、これを防ぐための防塁が築かれました。この防塁が長城の始まりです。また、当時は小国同士の国境にもこれと類似したものが設けられていたようです。
時代は下って、紀元前231年に国土を初めて統一した秦の始皇帝が、版図の最も北側の防塁をつなぎ合わせて延伸したのです。この大改修によって「長城」と呼べる姿になったと考えられています。当時の長城は土製で、人馬が越えられない程度の高さであったようです。紀元前百年頃、前漢の武帝による領土拡大にともない西端はシルクロードへの扉である玉門関まで延びましたが、異民族の勢力が強まるにつれ、長城は南寄りの現在の位置へ築き直されました。
現在見ることが出来る万里の長城は、明代(14世紀後半〜16世紀前半)に修築されたものです。当初の土塁状の姿はなく、レンガや石を積み上げた見上げるほどに高い壁となっていますが、長い年月のうちに風化も進んでいます。最新の調査では、レンガなどで造られた人工壁部分が6,260キロ。さらにその間をつなぐ尾根や崖を含めると、総延長はなんと8,850キロにも及びます。これは日本列島の大部分が入ってしまう長さです。このうちの五割が構造を失い、有効保存されている部分は全体の二割に満たないとのことです。
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その他の世界遺産 |
中国の世界遺産の中で、日本でよく知られているのは、シルクロードの都市・敦煌(とんこう)の仏教遺跡「莫高窟(ばっこうくつ)」、万里の長城ゆかりの「秦始皇帝陵及び兵馬俑坑」、四川省のジャイアントパンダ保護区などでしょう。
莫高窟は、岩壁をくりぬいた岩屋の内部に無数の鑿仏(レリーフの仏像)や彫刻が残されています。明治45年には日本の大谷探検隊が現地を訪れました。始皇帝陵は世界最大級の墳墓で、その規模から地下宮殿と呼ばれることがあります。副葬品である、軍隊を再現した等身大の人形群・兵馬俑は当時の風俗を知る大切な手掛かりです。
日本と中国の交流は、邪馬台国の昔から2000年以上に及びます。我々の祖先が国家への第一歩を踏み出したその頃、古代中国人はすでにこの長大な建造物を築いていたわけです。日本の良き師であった古代中国へのロマンがかき立てられる、「万里の長城」はそんな壮大な世界遺産です。
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